技術シーズ発表会 YouTube限定公開による講演動画の配信です
配信期間 11月22日(金)まで視聴期間を延長いたします
大学シーズマッチングin日本大学(若手研究者発表会)の講演を配信します。
講演の技術シーズには、研究開発に関わる特許・実用新案等も含まれます。
受講申込をされた方以外への配信は、研究者の知財保護から、お控えくださるよう願います。
大学シーズマッチングin日本大学【若手研究者発表会】
第1講演 ハイブリッドMEMSの取り組み
日本大学 理工学部精密機械工学科 助 教 金子 美泉 氏
本研究室で取り扱っている技術として、半導体作製技術を基本としたシリコン微細加工技術で
あるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術があげられます。 MEMS工程は理工学部
の研究施設であるマイクロ機能デバイス研究センターにあるクリーンルーム内で行っています。
研究では、MEMSによる微細加工で従来の機械加工よりも小さな部品や構造体を作製しますが、
小型化による様々な問題が出てきます。そこで、本研究室ではその問題を解決するために、異
なる材料や技術を組み合わせた「ハイブリッドMEMS」を提案しています。
本講演では、ハイブリッドMEMSの一例として、MEMS技術と積層セラミック技術を組み合わ
せたミリメートルサイズの小型ランキンサイクル発電システムについて紹介します。
適用分野:材料分野・電子部品業界
第2講演 100年後も使える人に優しいフライホイール発電機
~電気を貯める蓄電池の代替技術の提案と産業応用~
日本大学 生産工学部電気電子工学科 准教授 加藤 修平 氏
太陽光発電を主軸とする再生可能エネルギは設置コストが下がり導入に拍車がかかっています。
ただ、広範囲な普及には売電する先の電力系統に関する「慣性力不足」という最後の技術課題
が立ちはだかっています。蓄電池システムでこれらを解決する手法が世界で研究開発されてい
ますが、言ってみればスマフォと同じく蓄電池(バッテリ)は100年後は使えません。
これに対し本講演ではフライホイール発電機という電気工学で洗練された技術に自動車工学で
実績のある遊星歯車という技術を組み合わせた研究を紹介します。本技術は電気を貯めたり放
出したりと機能的には蓄電池システムと大枠は同じです。応用先として原発1基にも達するリ
ニア新幹線のエネルギ回生、爆発的な増加が予想される電気自動車の超急速充電など幅広くエ
ネルギに関わる技術への応用も紹介します。
適用分野:
1 太陽光発電や風力発電の余剰対策 2 リニア新幹線のエネルギ回生
3 電気自動車(EV)の超急速充電器 4 人工知能(AI)演算サーバの停電対策
第3講演 シープドッグシステムにおける誘導経路設計と群制御
日本大学 工学部機械工学科 専任講師 今林 亘 氏
本講演では、シープドッグシステムと呼ばれる少数の牧羊犬が多数の羊を目的地へと誘導する
取組みを工学的に応用した研究について紹介します。本システムの目的は、迅速かつ正確に多
数の羊エージェントを目的地へと誘導する牧羊犬エージェントの制御コントローラを設計する
ことにあります。設計法は、羊エージェントを効率的に誘導するために、牧羊犬が移動する距
離を最小化するよう、組み合わせ最適化(巡回セールスマン問題)を用いた誘導経路を構築し
ました。この誘導経路に沿って、羊エージェントを誘導することによって、誘導の正確さと誘
導時間の短縮を両立させます。本手法の有効性をコンピュータ上の数値シミュレーションと小
型移動ロボット数台を用いた実機実験にて確認しました。
適用分野:ロボット制御、動的制御、製造業における最適化
第4講演 小規模施設の加速器から生成されるパラメトリックX線を用いた
X線位相コントラスト撮影
日本大学 松戸歯学部歯学科 専任講師 河野 哲朗 氏
X線イメージング(レントゲン撮影)は、歯科臨床に広く長く用いられてきた方法ですが、近年、
加速器から得られる単色光を用いた新しいイメージング技術が開発されています。
日本大学量子科学研究所電子線研究利用施設(LEBRA)と当講座では、X線位相コントラスト法
という新規の撮像方法を用いて歯科に関係する試料の撮影を行っています。 この方法の特徴は
X線の吸収が小さいため、 コントラストが付き難い軽元素の物質や密度差の小さい構造物に高
感度で画像を形成する事が可能です。 但し、高性能の光源と高精度の光学系が必要な方法なの
でこれまでは大規模放射光施設を要する実験でした。 我々はLEBRAの特殊な光源を用いること
で小規模施設での実験を可能にしました。 口腔内の軟組織・硬組織を中心にこれまでの撮影し
た画像を紹介します。
適用分野:歯科関係、食品関係、建築関係
第5講演 全身投与した細菌由来LPSの作用の行動学的および生化学的解析
日本大学 松戸歯学部歯学科 助 教 青野 悠里 氏
歯周疾患関連細菌由来のLPS(Pg-LPS)がマウスの新環境誘発性移所行動や強制水泳試験へ及ぼ
す影響について大腸菌由来のLPS(Ec-LPS)と比較検討しています。移所行動についてはオープ
ンフィールド試験を用いてPg-LPSの全身投与が行動量に及ぼす効果について検討しています。
強制水泳試験は抗うつ薬の候補となる化学物質のスクリーニングのために用いられており、 抗
うつ薬により不動時間が減少することが知られています。 減少した不動時間にPg-LPSが及ぼす
影響について検討しています。
適用分野:
企業が持っている化合物の作用を行動学的(オープンフィールド試験、強制水泳試験)
生化学的に解析するのでそのような需要がある分野
第6講演 薬効を保持する分子複合体技術を基盤とした、
医薬品の品質向上を目的とする製剤設計
日本大学 薬学部薬学科 専任講師 鈴木 直人 氏
医薬品には薬効を示す有効成分が配合されています。しかしながら、有効成分の物理化学的性
質に難がある場合、その薬効が損なわれる場合があります。例えば、溶解性の低い有効成分は
体内への吸収性が乏しく、本来もつ薬効を示すことができません。有効成分の物理化学的性質
の改善には、 共結晶やイオン液体などの分子複合体の設計が有用であり、 有効成分の溶解性、
安定性、吸収性などを向上することが報告されています。講演者は、分子複合体を用いた医薬
品の製剤特性評価や、分子複合体をDDS材料として利用した薬物送達システムの開発などに取
り組んでいます。講演では、これら事例に基づき、分子複合体の有用性や製剤化に向けた研究
例についても紹介します。
適用分野:製薬分野、農業(農薬)分野、食品分野など
(特定の有効成分を加えて製品を開発するような産業分野)
第7講演 脂肪を蓄える細胞から脂肪を燃焼する細胞へ変化させる
~新規抗肥満薬の開発~
日本大学 薬学部薬学科 専任講師 野伏 康仁 氏
肥満は万病の元と言われています。運動・食事療法による肥満対策が有効であるが、多忙な日
常生活においてその継続が困難である人が増加しています。近年、白色脂肪組織において熱産
生能を有するベージュ脂肪細胞の誘導を標的とした新たな肥満の治療法が注目されています。
そのような中、我々は脂肪細胞をベージュ脂肪細胞へと誘導する非天然型フラバノン (2NC) を
見出した (出願番号:特許2023-094357)。 さらに、2NCの投与により、高脂肪食摂取に伴うマ
ウスの肥満化が抑制されました。したがって、2NCは脂肪を蓄える脂肪細胞を、脂肪を燃焼す
るベージュ脂肪細胞に変化させる夢のような化合物であり、新たな抗肥満薬として大いに期待
することができます。
適用分野:食品・バイオ、医療、介護、材料
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産学・知財支援グループでは、産学連携に関する技術相談や共同研究を推進しています。
講演頂いた先生方は、産学連携の取り組みに積極的な研究者・技術者ですので、
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