アクセス埼玉 2021年9月号

特集

ものづくり中小企業における事業承継~女性経営者の特性を生かした事業承継の在り方を目指して~

 団塊の世代(1947年~1949年生まれ)が65歳を迎えた2010年ごろから、中小企業の経営者の高齢化が進み事業承継の重要性が叫ばれてきました。しかし、その後、10年間でもあまり進展せず、2022
年から2024年に団塊の世代が75歳の後期高齢者となります。このような背景から、ますます中小企業の事業承継に関する研究が盛んとなり、各方面から研究が進められています。
事業承継については、親族内承継と親族外承継に大別することができます。そして親族内承継においては、親から子への事業承継がメインとなっています。その中では、相続に係る税対策や経営理念の継承など、さまざまな角度からの事業承継問題が研究されています。一方、親族外承継においては、従業員やM&Aによる事業承継等の研究が進められています。筆者も、「中小企業の親子間親族内事業承継における経営面の一考察-茨城県中小企業4社の事例から-」(『総合政策』第15巻第1号、岩手県立大学総合政策学会、pp.65-79)で、親族内承継における経営理念の承継の重要性について論文を作成しています。親族内承継において、特に親から子への事業承継について、中心的に研究が進められている事例研究では、親(父親、男性)から子(男性、息子)の事業承継がメインとなっています。しかし近年、女性が後継者となる事例も多く、親から子(女性、娘)への事業承継も多くなってきています。

      • 女性経営者の事業承継に関する研究の目的
      • 研究方法:実態調査の方法
      • アンケート調査概要
      • 既存アンケート調査(男性経営者中心)と今回アンケート調査(女性経営者)の比較分析
      • 追加インタビュー調査を加味した考察
      • 今後の研究に向かって