海外EC(オンラインショップ)で海外ビジネスに取り組んでみませんか?

出品からPRまで一貫サポートする『埼玉県特設ショップ事業』と『海外EC出店支援補助金』の2本立てで、県内中小企業の海外EC出店支援を行っています。

令和3年度海外EC支援事業を利用して海外ECに取り組んだ企業にインタビューしました。


株式会社真工社は、1922年の創業のめっき企業。これまでも、金属めっきからプラスチックめっきへの全面転換、メキシコ子会社の設立など、時代とニーズの変化をとらえ、チャレンジを続けてきました。

今回新たにチャレンジしたのが、めっき事業の不用品の意匠を商品化した『mystic error(ミスティック エラー)』。
『海外EC出店支援補助金』『埼玉県特設ショップ事業』をきっかけとして、海外展開に挑戦しました。

本業のプラスチックめっき加工 曇りのない金属鏡面が美しいクロムめっき
本業のプラスチックめっき加工
曇りのない金属鏡面が美しいクロムめっき
『mystic error』
『mystic error』掛け時計「地層」/「ちいさな掛け時計」
他にもアートパネルやイヤリングなど
『mystic error』
変色した金属の模様を「個性的なデザイン」として解釈した商品展開

眞子社長と企画開発チームの皆さんに、海外EC事業の感想や今後のビジョンをお聞きしました。


-mystic errorを開発した経緯を教えてください。めっき事業の不用品を活用した商品開発は、SDGsの理念にもつながりますね。

眞子社長「めっき加工の製造工程で生じる規格外品が、神秘的で美しいという社員の気づきがきっかけです。」
めっき加工で生じた規格外品の魅力的な質感
めっき加工で生じた規格外品の魅力的な質感

企画開発チームでは、 10年前から加工法を工夫して意匠性の高めるなど、めっきの付加価値を高める取組を行ってきた。試行錯誤を続け、生まれたのが mystic errorだ。

眞子社長「めっき事業の不用品(規格外品や金属廃材)の模様が美しいという新たな価値に気づき、意匠として活用した商品を開発しました。」

はじめに取り掛かったのが金属廃材の再利用だ。
不要となった金属材料は、従来リサイクル業者に買取をしてもらっている。あえて商品としての再利用を行ったのは“アップサイクル”の視点があったからだ。

金属がつくりだす表情を意匠パーツとして活用
金属がつくりだす表情を意匠パーツとして活用

企画開発チーム「私たちが魅力的に感じたものを価値あるものとして発信していこうと試みた活動がmystic errorです。」

コンセプトが固まり、2021年から国内でのイベント出店やEC販売を開始。現在は、専門家の助言をもとにブランディングのブラッシュアップを進めている。


-今回、mystic errorを初めて海外展開しました。海外ECにチャレンジした理由はなんですか。

眞子社長「海外の環境意識の高い消費者にmystic errorのコンセプトが受け入れられる可能性を感じ、海外ECで販売することにしました。」
埼玉県特設ショップ
Shopeeシンガポール『埼玉県特設ショップ』では
時計やアートパネルを出品

mystic  errorの国内販売を始めた頃、公社の海外アドバイザーに『海外EC活用支援補助金』と『埼玉県特設ショップ事業』への参加を提案された。

「めっき事業でメキシコへの子会社設立などを行っていることもあり、mystic errorも国内だけと決める意識はありませんでした。」

mystic  errorは不用品のアップサイクルの要素を持つ。SDGsや環境問題への意識が高い海外の消費者へ届けたいと『海外EC支援事業補助金』と『埼玉県特設ショップ事業』に申し込んだ。


-海外EC事業で海外ECモールに出品した感想や苦労した点を教えてください。

企画開発チームの皆さん
「特設ショップ事業は、国内の代行事業者が出品してくれるので簡単でしたが、商品名を考えるのには苦労しました。他社と合同で出店とプロモーションをしてもらえるので、アクセス数の伸びに手ごたえを感じます。」
アートパネル“岩肌(Rock face)”
アートパネル“ 岩肌(Rock face)”
めっき加工であえて使い古された質感に

『埼玉県特設ショップ事業』では、公社が用意する代行業者が翻訳を含めた出品からプロモーションまで実施。
国内ECの経験や写真や動画を作成するスキルは既にあったので、商品画像などの準備は問題なかったという。

海外ならではの苦労は商品名だった。
「岩のような質感を持つアートパネルを“自然石”という商品名で国内販売していました。英訳すると“Stone ”。暗喩のニュアンスが伝わらず、誤解を生むため“岩肌(Rock face)”という商品名を新たに考えました。」

真工社チーム
左から眞子社長、企画開発チームの織田さん、WONさん、羽賀さん。テレワークが進んだ真工社では、海外在住の社員も同チームで働く。

同事業では、 SNSやECモール内の広告、特設ホームページで商品のプロモーションを行い、埼玉県産品の認知度向上と売上拡大を目指す。広告結果は出品企業にフィードバックする。

「プロモーションを自社でも行いたい。海外EC補助金も活用し、海外の消費者に直接アプローチしたいと思っています。 」

この事業の経験を生かし、今後は自社での海外プロモーションにもチャレンジする。

 


―今後のmystic errorの海外ビジネスの展望を教えてください。

眞子社長「海外ECだけでなく、BtoBでの海外販路獲得を目指して事業を進めていきたいと考えています。」
眞子社長
眞子社長
真工社のチャレンジを
フランクにお話いただいた。

海外展開戦略の中で、まず海外ECに取り組んだが、ジェトロ埼玉の支援の下、BtoBの海外販路開拓の取組も始めている。

他社とのコラボレーションにも積極的だ。

「不用品の魅力を価値あるものとしてとらえる私たちの取組に賛同してくれる会社と一緒に、今後何かできないかと考えています。

正解の分からない世の中なので、mystic error も実験です。とにかくやってみることが大切と思ってチャレンジし続けたいと考えています。」


会社概要

本社工場外観
株式会社真工社

本社所在地埼玉県戸田市美女木東2-2-6
代表者:代表取締役社長 眞子 岳志
創業1922年5月
資本金3,000万円
従業者数99名(内正社員49名)
事業内容樹脂上の各種めっき加工

TEL048-421-9833 FAX048-421-8009
URLhttps://www.shinkosya.co.jp/