弁護士相談事例紹介

1.相手方債務の未履行による着手金回収と営業損失の損害賠償について

【ご質問】
相手方企業に対して、ホームページの作成を依頼したが、納期期限を過ぎても納品されませんでした。催告するも、納期期限を数ヶ月過ぎても完成の目処がたたないため現在は作業を中止させています。
着手金は既に支払い済みですが、着手金の回収と営業損失の損害賠償が出来ないでしょうか。
【アドバイス】
まず、作業を「中止」させているという状況は、当方にはメリットがありません。現時点で、契約内容に沿った内容のものが作成できないから債務不履行解除するのか、さらに納期の期限を設け、そこまでにできないなら解除する、といった合意を書面でするべきでしょう。
さらに、着手金については、相手方は作業に着手し、一定段階の作成はしているとのことですので、仮に解除しても、全額返還請求が認められるかは疑問が残ります。ただし、仮に解除した場合には、当然に全額の返還請求は行うべきです。
また、債務不履行による損害賠償については、損害の発生について、当方に立証責任があるため、具体的にどのような損害が生じたのか客観的に立証できないと、実務的には難しいでしょう。
もっとも、解除の際に、社会通念上相当な範囲での返還請求はなすべきです。
とりあえず、相手方と交渉の場をもち、納入の可否、返金の可否等について話し合うことが妥当です。

2.相手方の受領拒否と代金回収方法について

【ご質問】
インターネットを介して仕事を受注し、相手が準備した材料を使用して製品を製作、取引先に納品しました。しかし、そのうちの一部を返品されてしまいました。
返品されたものも業界では許容範囲の製品であるはずでしたが、謝罪文を出し、手直しをして再納品しました。しかし、相手が再び返品をしてきて、材料を返せと迫られています。
相手方の受領拒絶をやめさせ、代金回収を図るにはどうすれば良いでしょうか。
【アドバイス】
まず、製作した製品が業界では許容範囲の製品であるのかが問題となります。仮に許容範囲の製品であるなら、なぜ作りなおしたのか、謝罪文を出したのか、という点が法的紛争に至った場合に問題となる場合が有ります。
そのため、全額の回収には困難が予想されます。
また、請求額が少額であることから、専門家に依頼するのではなく、御社自ら内容証明を送付し、相手の出方を待ってから調停、訴訟へと進むか判断していくのが良いと思われます。
今後は、紛争の予防のためにも、初めて取引をする相手とは契約書を作成するようにした方が良いでしょう。

3.製造委託製品の所有権について

【ご質問】
取引先企業の技術を活用した機械を製造して貰うに当たり、弊社が前金で資金を調達した上で部品等を供給しています。しかしながら、相手企業は資産状況が悪く、倒産する恐れがあります。
そこで、(1)供給した部品部分の所有権もしくは機械の所有権をあらかじめ確保しておきたいのですが、何か良い方法はないでしょうか。また、(2)機械が未完成の状態で相手企業が倒産してしまった場合、製品完成まで相手企業の従業員の賃金を弊社が支払うことで、製品を作成させることは出来ないでしょうか。
【アドバイス】
まず(1)について、法律上と事実上の2本立てで備えをしておく必要があります。
1つ目は、法律上の備えです。契約上、機械の所有権が御社に帰属していることを明記しておく事が重要です。そうすれば、万が一紛争が生じたとき、特約の存在を主張出来ます。
2つ目は、事実上の備えです。相手企業の倒産後、債権者が機械を勝手に処分した場合、転売先で機械の即時取得が成立する恐れがあります。これを防ぐため、御社に所有権が帰属していることが分かるよう、機械に銘板を付けておくことが考えられます。もしくは、そもそも相手企業の債権者が勝手に処分することができないように、御社の社屋内で機械を製造させるなど、事実上の支配を及ばせておく必要があります。
次に(2)についてですが、相手企業が倒産してしまったら、機械を完成させるよう法的な強制力をもたせるのは難しいため、あまり現実的ではありません。

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